自転車旅CAFE

自転車旅を中心とした紀行文、紀行小説

水郡線の臨時列車

 おとくなきっぷの谷間である。
 夏の18きっぷが終ると、次の冬までの長い期間、こまごまとしたきっぷを探すのがつねだ。どーんと大きなおトクきっぷがないものだから。秋の乗り放題パスっていうのがあるんだけど、じつはこれ買ったことがない。JR全線の普通列車に乗れるっていう点では18きっぷと同じだけど、鋏を入れたらそこから三日間連続で使わないとならないからね。鉄道旅ならいいんだろうけど、輪行旅だと持て余しそうで。──もちろん使わない日があったっていい。でもこれ、18きっぷよりも安い(7,850円/消費税10%値上げ後価格)から、上手いこと泊まりサイクリングで使えばじゅうぶん元が取れるかもしれない。考えてみようかな。前々から行きたい英虞湾とか、いいかもしれないな。
 なんの変哲もない山里の風景が大好きな茨城県北部を訪れるのに都合のいい、ときわ路パスっていうのが春と秋にJR東日本水戸支社で発売されるんだけど、なぜか今年は秋季版が遅いことを知った(10月5日から)。そういえば今年、春季版も利用期間が短かったようなそんなような……。

 

 

 そんなときわ路パスの情報を探していたら(どうなってんの? 売らないの? ってことね)、水郡線の臨時列車って情報を見つけた。(いつまで残るかわかりませんがリンクしときます。)

  2019年8月23日/秋の臨時列車のお知らせ

 三本の快速列車が走る。快速おいでよ奥久慈満喫号、快速奥久慈清流常陸紅葉号、快速奥久慈清流磐城里山号だそうだ。このうち注目すべきは水戸8時59分発の二本の快速列車だ。
 水郡線ってかなりのローカル路線で、水郡線本線(太田支線に対しての水戸-郡山の線って意味ね、水郡線東北本線の支線だから、水郡本線っていい方は正しくないし)を通しで走る列車は5本、乗り継ぎでの通しを含めても6本しかない。まるで飯田線
 そして朝乗れる列車を探してみると、9時23分水戸発が最初。その前に7時28分っていうのがあるけど、僕は朝どう乗り継いで行ってもこの列車に乗ることができない。この2時間近い空き時間が、なかなかの水郡線のネックだ。先に書いたときわ路パスを存分に使いたければ水郡線も好選択肢で、でもこれで輪行するとスタートが遅くなっちゃうのはいつも気にするところだった。
 二本の快速列車は、この2時間のすき間に入る、8時59分水戸発である。
 なんて魅力的なんだ。常陸大子に10時過ぎに着く。ふだん僕が乗ることのできる9時23分水戸発だと10時39分着、30分も差があるんだ。
 いいなあこのダイヤ……。
 でもしょせん臨時列車。一本の常陸大子ゆきは10月13日のみの運転、もう一本の磐城石川ゆきは11月の9日と10日のみの運転。きわめて限定的。
 このダイヤ、快速だから成立するのかもしれないけど、定期運用してくれないかなぁ。この時間帯に下り列車があったら、本当にありがたいです。

 

 

 ところでこの臨時快速、驚くのが停車駅だ。快速奥久慈清流常陸紅葉号、快速奥久慈清流磐城里山号の二本は水戸を出ると次は袋田だ。なんだってえええええーーーーーっ!!!!?
 快速奥久慈清流磐城里山号は8時59分に水戸を出ると、次の袋田着が10時ちょうど。きょうび、1時間以上もノンストップで走る列車なんて、そうないんじゃないか。新幹線だったら新横浜を出て名古屋に着きそうな勢いだ。なんて超快速なんだ。むかし東武線を走っていたけごん5号っていう、浅草を出ると次が終点の東武日光っていう今じゃ驚異の特急さえ思い出した。
 ちなみに国鉄時代、水郡線にも急行が走っていた。「奥久慈」という名のそれは、常磐線の急行「ときわ」に併結して運転される定期列車だった。水郡線が非電化なものだから列車は当然気動車で、常磐線の急行ときわも、この奥久慈に併結する運用は気動車で走っていた。全線電化路線なのに。上野駅や、荒川の鉄橋を渡るキハ急行を見られた時代があった。
 この急行奥久慈、水戸を出ると上菅谷、常陸大宮、山方宿、西金、袋田、常陸大子と止まっていく(郡山ゆきで、常陸大子から先、郡山まで普通運用)。これって、10月13日運転の快速おいでよ奥久慈満喫号とほぼ同じ。
 そう考えると二本の快速、水戸から袋田、常陸大子とかっ飛ばす──う~むダイヤから見るとかっ飛ばしはしないな──運用ってやっぱり度肝を抜かれる。

 

 1時間以上ノンストップ……、1時間の密室トリック。いやぁこれはぜひ花村乃里子(註:沢口靖子)と一緒に乗ってみたい。

 

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