自転車旅CAFE

自転車旅を中心とした紀行文、紀行小説

その他の紀行

群馬・沢渡温泉

群馬には、僕の興味を引く温泉がたくさんある。草津、伊香保、水上──そんな有名温泉地もいいけど、それらとは一線を画す、というより、もうベクトルを別にする温泉たち。四万(しま)、法師、尻焼……。 四万温泉に出かけたときのこと。お湯に感動し、体に残っ…

四万ブルーと共同浴場

果てしなく続くブルーに見惚れていた。力を込めて見つめれば見つめるほどその深さに吸い込まれそうだった。風はまったくないくせに、この気温が立っているだけで体の熱を少しずつ奪っていく。それでも見ていた。いつものコンパクト・デジカメを持ってこなか…

大谷崩

梅ヶ島温泉の周辺の観光情報を調べていたらたまたま目にした。名前もまったく知らなかった。その名前で検索してみても多くの情報は得られなかった。どこを見ても書いてあることは似たり寄ったりで、どれもこう「ハートに突き刺さる」ようなものは正直なかっ…

高所

なにがしかの強制的な事態じゃない限りみずから望んで行くことは基本的にない。高所。高ければ必ず怖いかというとそうでもなくて、まれに大丈夫なときがある。逆に低ければ平気かというとこれもまた同じで、そうでもないのに恐ろしくて足が出なくなることが…

神倉神社(Jul-2019)

熊野三山をめぐってきた。おおよその場所は知っていて、いいところであろうということもわかっていた。でも詳しくは何も知らなかった。なぜなら僕にとってまだ行く段ではなかったから。知識も情報も得ようとしていなかった。ゆえにテレビで見、書籍で読んで…

ぐんま民鉄旅(Jun-2019)

土曜日は一日引きこもっていた。外に出ようとさえ思わなかった。窓外の雨をながめた朝、残りのカレーを温めて冷えたご飯にかけて食べてから、興味本位に手を付けた書き物に思いのほか没頭し、チョコレートとコーヒーとクッキーとコーヒーの周回を何周回か繰…

愛知・三重へ(その0)(Jan-2019)

西へ向かおうと思ったのはシンプルな発想だった。僕はこの冬の18きっぷを手に、しかしながらその用途に苦慮していた。それは冬の寒さに打ちのめされていたから。僕がこれまでより寒さに弱くなったのか、それとも今年の冬が例年より寒いのか、よくわからな…

出発前夜

いま、キャンプをしている。たき火を見ている。 福島県裏磐梯、湖畔にて──。 (意外にも、けっこう寒い……) 世の流れに合わせて、今日からお休みにした。本当はこのお盆休み週間を避けたかったけど、周りの仕事とあわせる必要だってあるし、まあ仕方ないよね…

オートキャンプをする

車に、自転車と一緒にキャンプ道具を積んできた。 奥日光をサイクリングして、いろは坂を下りてきた。今夜はオートキャンプをする。 ◆ 「ヒロシのぼっちキャンプ」というTVプログラムが最近始まったので見ている。タレントのヒロシ氏がソロキャンプに出掛…

路面電車

先週、三遠をサイクリングしたとき、宿泊したのが豊橋。 駅前に出てみると、路面電車が走っていた。 地元の私鉄、豊橋鉄道が走らせているらしい。「路面電車に乗ってきたい」 と、僕はこの旅をともにしていた妻にいった。「どうぞ、どのくらいの時間?」「1…

秩父ミューズパーク・春

秩父の高台にあるミューズパークという公園、ここを最初に訪れたのは昨年の秋だった。 秩父ミューズパークは中を自転車でも楽しめる公園で、レンタサイクルも用意されていることは知っていた。とはいうものの、規模的には南北に4キロばかりで、国営のひたち…

銀山温泉と峠の力餅

銀山温泉の名は、子供のころから、知っていた。 それは小学生のころに買った、日本交通公社出版のガイドブックに載っていたから。タイトルは忘れてしまったけれど、関東からの温泉旅行のようなもので、当時主流の新書版だった。温泉の紹介とそこへの簡単な行…

東山道で白河へ

白河へ向かっていた。 福島県の白河だ。 いにしえにはみちのくの玄関口、東北への入り口の街として今も変わらず各方面の道路が複雑に入り組みあう要衝の街だ。 栃木県からここへ向かう国道294号は江戸のむかし、陸羽街道(奥州街道)だった道。 僕はここ…