自転車旅CAFE

自転車旅を中心とした紀行文、紀行小説

平沢芹沢林道(Sep-2019)

下今市駅、午前8時。 列車から輪行袋を持って降りたのは僕ら三人だけじゃなく、ほかにも何人かいた。なんで下今市なんだろうって思う。だって列車は東武日光行きだし、その日光まで行かずに途中で降りてしまうのだから。この辺、ごくふつうの自転車乗りだっ…

米を見、米を食う - 魚沼スカイライン/後編(Sep-2019)

(前編から続き) 魚沼展望台は魚沼スカイラインのなかで最も高い場所にある。魚沼盆地を一望でき、石打、大沢、塩沢、六日町と魚野川流域にだんだんと広がっていく日本の穀倉地帯の風景が手に取るようにわかる。それと同時に六日町や十日町の展望台ではなか…

米を見、米を食う - 魚沼スカイライン/前編(Sep-2019)

テーマがまず浮かんだ。米を見に行く、そう決めた。そう考えたのは8月に林道河原小屋三の宿線(前日光基幹林道)へ出かけた日。そこまでのアプローチで走った鹿沼市内の田んぼのなかの道で。まわりの稲穂たちはまさに金色に染まるのを目前にしていた。一部…

最長時間普通列車の旅 - 飯田線

飯田線である。 これまで乗ったことがなかった。 まあ鉄道全線に乗ったり最長片道きっぷを作ったりってほど積極的じゃないし、日本の鉄道のせいぜい10分の1くらいしか乗ったことがないと思うんだけど、それでもこの有名路線に今まで乗ったことがないか、…

日光市へ - 前日光基幹林道(Aug-2019)

急に決めて南栗橋ゆきの電車に乗った。天気予報の気温を見て涼しげだった嬬恋パノラマラインに行こうかと考えたのだけど、車のあてもなく、かといって鉄道アクセスの大変な場所へ、前夜の準備状況から始発に合わせて起きられる自信もなく、あっさりあきらめ…

避暑あづみの(Aug-2019)

大糸線、信濃大町駅を降りた。午前11時前。 18きっぷだけで来た。東武線最寄駅からじゃ間に合わないから、JR武蔵野線の南越谷駅まで自転車で走ったうえで。そこから輪行。移動に6時間近く費やしたってことだ。 ある意味驚く。ここまで18きっぷで(…

難読地名と国土地理院地図

とにかく地名の読み方は難しい。新宿なんて、「しんじゅく」もあれば「あらじゅく」と読むところもある。「にいじゅく」って読むところも知っている。あるいは濁らずに「しゅく」と読むところだってあるかもしれない。 漢字すら見たことがなく読み方の見当も…

流されるまま日本海へ(Aug-2019)

前夜、ビジネスホテルの狭い部屋でずうっとだらけていた。夕飯に米沢の名物駅弁『牛肉どまん中』を買ってきて、味噌汁代わりにカップラーメンを添えた。ダラダラとローカル局のTVを垂れ流しながらそれらを食べ、終えてひと休みしてから買い出しに出たとき…

お地蔵さんの全容を見にいく(Aug-2019)

おそらく僕が蔵王の地蔵を見たのは、スキーがまだブームと呼ばれていたころだったと思う。冬、お地蔵さんのいる山頂まで行くにはロープウェイに乗らなきゃならず──それ以外に山頂まで行くリフトは今も一本もない──、輸送力の低いこのロープウェイではブーム…

雲のなかと雲のうえと雲海と御釜(Aug-2019)

雲が晴れた。これまで十数メートル先の視界ですらおぼろげだった。車の速度だったなら不安でならないほどの白い世界、それが晴れた。 本当のところは奥羽山脈中覆域を覆っていた厚い雲の上に抜けただけだった。蔵王エコーライン。標高は1,300メートルを…

自転車で挨拶するということ

自転車に乗って、自転車とすれ違うと、挨拶をすることがある。僕はたいてい会釈しこんにちはというか、手を挙げる。極度の人見知りの僕がこういうことをするのだから、知らないうちに体にしみついているのかもしれない。 林道なんか行くと、自転車はおろか、…

ピュアじゃないのかむしろピュアなのか

言い訳ではないのだけどどうも文章が上手く書けなくって。いや言い訳か。ここ向けの記事とほかの文章をひとつずつ、書きかけのテキストをごみ箱に放り込んだ。残念ながらそういうこと。笑うだけ。 書き上げたものがないからログインもしてなかった。こうして…

狙ったように台風が来たりするものだから、ああ

僕は顧客の夏休みに合わせてお休みを取るようにしているので、いわゆるお盆週にまるまる休む今の顧客に合わせて僕も休みを取る。初めは世間一般の人々と同じ時期に休めるってことがうれしかったのだけど、じっさいそのなかに身を置いてみてわかったよ、この…

大谷崩

梅ヶ島温泉の周辺の観光情報を調べていたらたまたま目にした。名前もまったく知らなかった。その名前で検索してみても多くの情報は得られなかった。どこを見ても書いてあることは似たり寄ったりで、どれもこう「ハートに突き刺さる」ようなものは正直なかっ…

高所

なにがしかの強制的な事態じゃない限りみずから望んで行くことは基本的にない。高所。高ければ必ず怖いかというとそうでもなくて、まれに大丈夫なときがある。逆に低ければ平気かというとこれもまた同じで、そうでもないのに恐ろしくて足が出なくなることが…

苔をゆく 群馬・小平座間林道(Jul-2019)

地図で見つけた道だった。そこでは県道なのか市道なのか、林道なのかそれとも登山道なのかわからなかった。わかったのは「こんなところに道がある」という事実であり、それをたどった結果、「つながっている」ことから湧いた興味だった。 道は現在のみどり市…

土星、ドーナツ

小学生の時同級生に天体望遠鏡を持ってるから今夜星を見ようと誘われた。僕には彼が星に関心を抱くきっかけのひとつも見つけられなかったので──チャリのハンドルを変な向きにしたり、オッサンがしそうな金縁のサングラスをかけたり、空き地でロケット花火を…

GPSiesの終息

ルートラボが閉鎖するニュースが話題になった。来年の3月をもってサービスを終了するという。 かつて、マイクロソフトSilverlightの更新が止まり、それはルートラボの存続そのものだった。僕もルートラボでルートプランニングしていたからそれはもう痛手で…

神倉神社(Jul-2019)

熊野三山をめぐってきた。おおよその場所は知っていて、いいところであろうということもわかっていた。でも詳しくは何も知らなかった。なぜなら僕にとってまだ行く段ではなかったから。知識も情報も得ようとしていなかった。ゆえにテレビで見、書籍で読んで…

都夫良野・丹沢湖・西丹沢(Jul-2019)

開成(かいせい)という駅で降りた。神奈川県開成町、駅は小田急小田原線。小さな町である。町には駅がひとつだけあって、今までは小田原ゆきの急行に乗っていれば通過する駅だった。列車の窓から、動体視力の優れている日ならば駅名標を読むことができた。…

村上、塩引鮭、瀬波温泉(Jul-2019)

眠っていた。長らく。青空のもと、列車の窓から差し込む7月の強い日差しを背に受けながら、でもそれはじりじりと暑いわけでもなく、もともと気温がさほど高くない日に、列車内に冷房も入っていたから、中和されてちょうどいいくらいだった。眠るにはまさに…

村上、笹川流し、鼠ヶ関(Jul-2019)

午前2時半。車で家を出た。僕にとってふだん起きていることがない時間。外の空気に朝の独特の香りはまだない。どちらかというと夜の延長。しかしながらそれとも違う。半寝状態であてもないテレビを見続けているようなルーズさがない。一度仮眠したことでス…

ぐんま民鉄旅(Jun-2019)

土曜日は一日引きこもっていた。外に出ようとさえ思わなかった。窓外の雨をながめた朝、残りのカレーを温めて冷えたご飯にかけて食べてから、興味本位に手を付けた書き物に思いのほか没頭し、チョコレートとコーヒーとクッキーとコーヒーの周回を何周回か繰…

10日間天気収集エクセルマクロ(改)

まったく個人的なツールで、僕(とごく一部のお知り合い)以外は使っている人いないと思うのですが……、こうやって見える場所にアップしていたこともあり、日本気象協会のページの変更に合わせて直したので記事にしておきます。 日本気象協会(tenki.jp)の1…

この自転車で砂利道行くんですか?

僕は自分の自転車をロードバイクと呼ばない。速く走らないし競技もしない。レースはもちろん、ブルベもイベントも出ない。クラブに入ったりチームを組んだりすることもない。人と走ることもあまりないうえ、人と走ることに慣れていない。手信号とか出さない…

沼田河岸段丘・望郷ライン(Jun-2019)

雨が降った。マジか、と思った。雨粒が落ちて、身体に自転車に当たったとき、一時的なものであれと祈ったのだけど、天にやさしさはなかった。ポツリポツリがやがてシトシトとなり、ザァザとなった。ときにヘルメットに当たってばちばちと音を立てた。雨水が…

白河から黒磯へ(Jun-2019)

会津田島から山を越え、白河まで下ってきた僕は、西郷(にしごう)村で気分よくラーメンを食べていた。時間もそれほど遅くなかったし、新白河から輪行して帰ろうかと思ったのだけど、もう少し走ってもいいなと思った。 天気は羽鳥湖あたりからずっと分厚い曇…

南会津から天栄村、白河へ(Jun-2019)

南会津は遠い。会津田島の駅に降り立ち、自転車を組んでもう10時だ。むしろ東北新幹線を郡山で降り、磐越西線で向かう会津若松のほうが時間距離でいうと近い。そもそも野岩鉄道が開通し、鉄道路線が首都圏と直結したのが1986年、いっぽう道路のほうは…

雑誌・中古車情報と林道

かつて中古車情報っていう雑誌があった(はず)。たぶん正式には「月刊自家用車 別冊中古車情報」とかいう名前で、そうはいいつつこちらも定期の月刊誌として刊行されていた。 こんな雑誌を毎月買ってはむさぼるように読んでいたのは、免許を取り、何のこと…

週末どこへ出かけようか

僕はサイクリングに出かけるにあたり、わりとルートを厳密に引くほうだと思う。ここでも何度か書いたとおり、「ルートの物語性」を思い描き、それを大事にしながら組み立て、風景や展開を想像してルートを引いている。できあがるころには、細かな路地一本に…