自転車旅CAFE

自転車旅を中心とした紀行文、紀行小説

りんりんスクエア土浦

 つくば道にサイクリングに行った日、輪行下車駅を土浦にしたので、りんりんスクエア土浦なる施設に立ち寄ってみた。
 りんりんスクエア土浦とはいわばサイクリング拠点となるサービス施設で、去年ウェブやツイッターで名前を目にする機会が多かった。
 てっきり広々とした東口にあるのだと思ってた。霞ヶ浦へのアクセスも容易だし。土浦駅で降り、長い跨線境を歩いて行くのは嫌だなと思った。目指す道がつくばりんりんロードだったから西口に出るつもりだし、だとしたら立ち寄らなくていいやと思っていた。駅前で、自転車を組めるスペースさえあれば事足りる僕には、拠点となるサービス施設は特に必要がないから。でもそれは西口にあった。
 西口といういい方が適当だろうか。じっさいには西口側の駅ビルの地下にあった。ならいいじゃん、寄ってみようって思った。

 

 輪行袋のまま地下へ。せっかくだから行ってそこで自転車組み上げができるか見てみる。
 しかし駅前ロータリーでさえないんだ。駅ビル内。さすがJRが絡んだプロジェクトだけあるなあ。駅ビルはJR東日本のアトレ。りんりんの名は県が進めるサイクリングロード事業、りんりんロードに合わせたんだろう。この施設の事業主体は茨城県のようである。
 実に広くてこぎれいなスペース──悪くいえば無機質だけど、こんなところアーシィやナチュラルである必要なんてひとつもない、清潔であるほうが大切だろうから──、その3分の2は駐輪場、残りのスペースには、まずバイクラックにずらっと並んだレンタルバイクがあった。ジャイアントのエスケープ系かな、小径車もあるよう。そしてコインロッカー。輪行でだけ使うような荷物はここに放り込んじゃえばいいんだ。収納してもそれなりの大きさになる輪行袋だって置いていくことができる。もちろん帰着もこの土浦駅である必要があるけど。放り込んでおけるってことは輪行時用の着替えも持ってこられるのか。じっさいそれが可能なように、コインロッカーの目の前は更衣室だった。中はただの部屋だけど、無料で利用できる。
 コインロッカーの前には自転車を広げられるくらいのスペースがあるので、ここで輪行袋から取り出して組み上げた。フリーのバイクラックがあるから、組み上げた自転車をそこにかけ、あとでゆっくり輪行袋と備品を片付けられる。
 シャワールームがある。入口の扉は開かない。料金を支払って初めて開くんだと思う。料金は一回にある自転車店ル・サイクで専用コインを購入するらしい。300円だそうだ。帰ってきてシャワーで汗を流し、ロッカーに放り込んでいった普段着に着替えると、楽だろうなあ。
 宅配ボックスもあった。駅としてはコインロッカーも並んだ場所だし、一緒の場所でいいだろうって判断したのかもしれない。もちろん地元土浦の人が使う宅配ボックスだろうけど、通販で買ったもののデリバリーが間に合いそうもないとき、ここ宛てに送ってしまうことができたりするのだろうか。あるいは輪行中に自分で持って歩きたくないものがある場合、この宅配ボックスあてに送り付けることもできるんだろうか。

 

 

 地下一階と外とのあいだは、地下駐輪場でよく見るいわゆるスロープ(自転車コンベア付き)のほか、駅ビルアトレのエレベーターが利用できる。このエレベーターを使うと駅ビルの一階フロアに出るのだけど、つまりフロア内を自転車で通行できるってことである。
 これが驚きだった。
 もちろん自転車が通ることのできる場所は決められていて、その動線にブルーのラインが引かれているのだけど、ここ、通っていいの? って思うところまでブルーのラインが引いてあるのだ。

 

 一階は先述の自転車店ル・サイクのほか、タリーズ・コーヒーやドラッグストア、コンビニのミニストップが入っている。僕がここに寄った朝9時前後はまだル・サイクとドラッグストアはやっていなかったけど、タリーズミニストップはやっていた。タリーズは自転車をちょっと立てかけておけるバイクラックがあってそのままコーヒーを飲むことができるし、タリーズにせよミニストップにせよ、レジ前にブルーのライン、つまり自転車の動線が引かれていた。これだけの駅ビルフロアのなかを自転車を押してまわれるというのはびっくり。
 ル・サイクは自転車販売や修理のほかに、レンタルバイクの受け付けや工具の貸し出し、サイクリング情報の提供から洗車のサービスまでやっているようだった。

 

 これだけの自転車拠点は他にはないだろうなあ。驚きと話題性には事欠かないけど、ここまでの施設はそう造れないんじゃないかな。地下一階と同等のサービス施設であれば、自転車置き場を除けば宇都宮駅前にある宮サイクルステーションが似ていると思う。でも一階の商業スペースまで含めた自転車動線の整備は、行政と民間の多くの協力が必要。ここまでやって収益性はどれだけあるのか。民間は話題性だけじゃ成り立たないからね。
 じっさいタリーズで自転車を置き、コーヒーを飲んでいる人がいたかというと、僕がいたときにはゼロだった。一般のお客さんは何組もいるのだけど。そりゃそうだ、自転車乗りはこんなところでお茶飲んでる場合じゃなくて、さっさと走りに行っちゃうからね。買い物を終えた自転車が、帰る前にちょっとお茶してるって絵が、午後になれば見られるのかな。
 いずれにしても面白い施設ができて、そのなかを体験してきた。

 

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