自転車旅CAFE

自転車旅を中心とした紀行文、紀行小説

赤城南面千本桜

 赤城山から下ってきた道の途中、ルートを引いているときに「千本桜」の文字を目にした。はじめ、別の県道でルーティングしていたのだけど、何となくその文字に惹かれ、いささか他の道より心もとない、一本の直線路に引きなおした。

 

 確かに桜が咲けば多少なり写真も撮るし、有名な木があれば近くなら立ち寄ってみようかと思ったりもする。ただ、ぼくはそれほど桜をめでるわけじゃない、、、、、、、、、、、。桜に限らず、花全般──本当をいうと種類も季節もよくわからないし、それほど興味があるわけじゃない。

 

 赤城山から長い長い下りを走ってきて、この道へ入ってきた。
 はじめ、千本桜の道に入ったことをわかってさえいなかった。
 まだまだ続いている赤城のすそ野の下り道。その直線路の両脇に重量感のある並木が連なっていることに気づいたのはずいぶん走ってからだった。

 

 まさにトンネル。
 トンネルは、葉桜、、だった。

 

 なんて重厚なんだろう。桜の花がトンネルを作るよりも、むしろこのほうが感性に強く訴えかけてくる。
 立ち止まって見た。なんて長い直線で、なんて長い桜並木なんだろう。まさに千本桜の名にふさわしい。圧倒的だ。
 おそらく桜が咲く時期は通行止めのはずだ。もちろん今日は通り抜けることができる。

 長い直線路を緩くブレーキをかけながら下っていった。
 絶対に花よりも葉のほうがぜいたくだ。僕はそう決めつけ、走った。

 

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