自転車旅CAFE

自転車旅を中心とした紀行文、紀行小説

サイクリングロードという選択肢

 知人のMさんが自転車に乗り始めて一年になったと聞いた。なるほどそうでしたか、おめでとうございますとお祝いの言葉を送った。買いものや用事以外で自転車に乗ることなどなかった人が、僕の書いた文章を目にし、旅に興味を持ち自転車に興味を持ち、自ら自転車を手にし(しかもいきなりロードバイクという……)、輪行自転車旅を楽しむようになったことは、僕としては喜ばしいと素直にうれしく思った。

 出かけるときは連れて行ってもらいたい、とか、ここへ行ってみたいのだけど、とか、旺盛な好奇心そのままにご一緒することがあるのだけど、ルートを引いてくださいと頼すまれることもあるし、あるいは他のお仲間と、ときにひとりで、出かけたときの報告を目にすることもある。


「荒川サイクリングロードを走ってきました」

 そんな報告をもらった。「キッチンとれたてでカレーを食べてきました」と。



 そういえば僕が荒川サイクリングロードへ最後に行ったのはいつだろう。


 僕が引くルートにサイクリングロードが含まれることはまれで、含まれていてもそれは区間利用、他に道路がないとか、周りの道路は交通量が多くて選択できない、そんなときだ。

 つまり僕はそれそのものを目的としたサイクリングロードをあまり選ばない。

 たぶん退屈なのだろう。

 ほとんど変わらない、河川敷からの景色を眺めているのは飽きが来てしまうし、だんだんとそのなかを走り続けていることがつらくなってくるみたいだ。

 あと、あまりにも自転車乗りが多いところを敬遠する傾向も否定できない。


 Mさんは、

「走りやすくていい道だった」

 と言った。

 なるほど、それがふつうだ。


 キッチンとれたて、とは僕がかつて走ったときのレストランさくら、らしい。なんとか茶屋になったんじゃなかったっけ。


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▼レストランさくら、だったころ。