せっかい
地図には地図記号というピクトサインが描かれていて、そこに何があるかとかそこがどういう土地であるかということを示している。地図記号のなかに鉱山を示すマークがあって、こんな絵柄だ。
こういった界隈は、僕のような自転車に乗って旅をしようという者には、「ダンプの往来する場所」という意味で──こうやって書くとまるでアイヌ語源の地名の説明みたいだね──避けて通りたい場所だったりする。
地図記号って国土地理院の地図でもないと描かれていないからなかなか目にすることはないんだけど、たまに国土地理院の地図を見るとつい目が行っちゃう。
で、この採鉱地の記号が目に入ってくるわけ。
採鉱地の地図記号は補足として何を採鉱しているのか書くことになっている。採鉱地は、例えば僕らには悪名高きダンプ街道たる栃木県佐野市の
こんな感じ──。
「せっかい」
「せっかい」
せっかいだよ、平仮名で。
もちろん石灰を採っている山であることはわかるんだけど、こう平仮名で書かれるとぽろっと笑っちゃう。
しかも乱立してるし──。
見ていると「折檻」を思い出していやらしいことを想像したり(もちろん折檻とはいやらしい意味ではありません)、あるいはお節介おばさんが次から次へと頭のなかに登場したり、もう行くとこ探しやルート引きどころじゃなくなっちゃう。
おねがい、石灰って書いてー……。
国土地理院では、
「採鉱地は、記号といっしょに、地中からほり出す鉱物(せっかいやタングステンなど)の名前を一種類、ひらがなまたはカタカナであらわします」
と決めているので、石灰がせっかいになっちゃうのは仕方がない。
でも笑っちゃうんです、なんとかして。
地図の中から採鉱地を見つけ出すのって至難の業で(検索とかできないので)、偶然見つけるばかりなんだけど、大半は「せっかい」。山口の秋吉台周辺もせっかい、せっかいだし。あとどんなものがあるんだろう。見つけられたら面白そう。山陰の山で「ゼオライト」と「けいさ」、九州の山で「けいせき」「エメリー」ってのを見つけたことがある。もはや何なのかすらわからない。シャンプーか? 漢字も想像がつかない(笑)。同じ九州鹿児島で「きん」って書いてある採鉱地マークがある。おばあちゃんや。
こうやって地図を見てると本当飽きないよね。っていうか見続けて時間を忘れちゃう。
もう寝ないとね。
おやすみ。
おやすみ。
せっかい。
せっかい。