自転車旅CAFE

自転車旅を中心とした紀行文、紀行小説

バッグはいいけど荷物がね

 大容量サドルバッグの出現って、ちょっとした革命だった。
 それまで宿泊をともなうサイクリングの場合、①シートポストキャリア+10L程度の積載バッグ、あるいは②リュックだった。
 やっぱり宿泊込みの荷物をリュックやザックで背負っていくのはしんどくて、一日経つと肩や胸や背中、腰なんかも痛くなった。
 だから荷物は背負わないようにと、自転車に持たせるバッグとして、シートポストキャリアとそれ用のバッグを用意したりした。このシートポストキャリアってやつがじつは重たくて、やっかいだった。輪行のとき外さなきゃならないのも面倒だし、走るにも明らかに重量を感じた。シートポストにネジで締めるだけなので、緩いと自転車を振ったときなんかに簡単に斜めにずれてしまったりした。
 火野正平氏のテレビを見て、キャラダイスのバッグもいいなと思ったことがあったけど、バッグサポータという、ゆるやかに垂れ下がってくるバッグを支えるための金具が必要で、結局それをそろえるのも面倒になってしまった。
 だからそれひとつでかなりの容量を詰め込め、かつ別のアタッチメントのたぐいも不要な大容量サドルバッグを見たときはこれだ、と確信した。

 

 確かに、かなりの荷物が入る。
 何でもかんでも入るというわけじゃないけれど──例えば冬のウィンドブレイク素材のウェアなんか、入れたらそれで終わりだけど──、けっこうな量が入る。僕の場合、宿泊サイクリングでもテントを張ることはないから、これひとつでほぼまかなえる。

 

 今年の夏は久しぶりに長めの旅に出た。大容量サドルバッグを使って、それだけでリュックを背負うことはなかった。
 夏場の荷物だったからというのもあって、サドルバッグにはまだ余裕があった。詰めればまだ少しは入りそうだった。容量10L程度だろうから、それで少し余るくらいのパッキングをした。

 

 脚に当たることもなく、付けていること自体、不満はなかったんだけど……。

 

 重いんだよね、どうにも。

 

 僕の場合、輪行のあいだ不要な荷物は一緒に輪行パッキングしてしまうから、もちろんこの大容量サドルバッグも入れてしまう。これゆえ輪行がきわめてつらくなった。荷物の重みが強烈に肩に食い込んで来て、最後はとうとう歩くのもおっくうになった。
 走っているさいちゅうは、変な振れ方とか揺れ方とかすることはなかった(これは本当に素晴らしいと思う)し、荷物としてほぼ気にならないな、なんて思っていたのだけど、あるとき──たぶん坂の途中かな──、ふだんとの自転車のバランスの違いを覚え、やっぱり重心が後ろに行っているんだなって感じた。そして一日の後半になれば、疲れ度合いが日帰り時とは明らかに違っていた。
 大容量サドルバッグに目いっぱいの荷物を入れたらどうなってしまうのだろう……。

 

 もちろん僕よりたくさんの荷物を積み、僕よりも長い日数をかけて、僕よりも長い距離を走っている人がたくさんいるのはわかってて、まあそこは僕の貧弱さゆえなのだけど、自分の身の丈に合った自転車旅を考えるなら、もう少し荷物を軽量化しないとだめだなあ。
 パッキングを小さくするのではなく、軽量化。

 

 以前ここでも触れたことがあるのだけど、ここ何年かで、持ちものに電気を使用するものの電池と充電関係が増えたように思う。スマートフォンの充電機器類はもちろん、ガーミンの予備電池、その充電器、同様にデジタルカメラの周辺と充電器などなど。これらって集めると小さいくせに意外と重たいんだよね。
 あとは余計な(?)ものをどれだけ省くか。チェーン切りも持っていったけど、はっきりいっているのかなあ。そんな事態になったらそこに自転車を放り投げて電車に乗って帰ってくればいいって思っているのだけど、実際そこが鉄道から20キロも離れていたら、そうはできないだろうから(10キロだって歩く気になるか怪しい)。応急的につないで、走れる範囲まで走ることになるんだろうって持っていったんだけど、やっぱり必要なのかなあとも悩む。

 

 大容量サドルバッグのように新しいグッズが出るほどいろいろ工夫はしてみるのだけど、なかなか軽量化が進まないね。逆に入れられる余裕が余計な荷物を生んでしまったり。やれやれ、難しい。

 

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