この旅にストーリーはあるか
ここのところの変わりやすい天気に押されていたこともあって、旅に出ようとしても直前に計画変更することが多かった。出向く先を180度違った方向にしてみたり、前日の夜になってルートを引き直したり。
もちろん急ごしらえだっていいのだ。あわてて作ったってかまわない。
でも、本質を失うのはいけない。
そのルートに意味はあるのか?
その旅が紡ぐストーリーは何なのか?
少しないがしろになっているようだ。
持てる時間から距離や標高を逆算し、走れそうな道をただルートにしただけ。
距離を走ることが目的じゃない。標高を得ることが目的じゃない。写真を撮るために旅をするわけじゃない。いい景色を見ること、その地の空気を感じることは大事だけど、要素であって本質じゃない。
ルートに意味がない。物語が生まれてこない。
駄目である。ダメダメである。
そのまま出かけても、感性が動き出さない。感情が
自省。
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どこに行きたくて出かけるのか、何が見たくて出かけるのか、どんな展開が待っているのか。
この山に上っていると見えてくるもの、峠の向こうに現れるもの、河畔・湖畔・海岸に出ると感じられる風、新たな町で見る造りとか、営みや文化から肌に触れる空気、そういった場所場所、土地土地を結ぶ道路の意味や美しさ。
物語の基礎は、時代が流れようと起承転結である。
小説を書くときと同じように、プロットを立てる。プロットを構成するいろいろな要素を、ルートに配する。引いたルートは意味を持ち、できあがった旅はストーリーになる。
もちろん旅なんて計画どおりには行かないし、構成要素が思っていたものと違うことだって多い。でもそれはいいほうに転んでも悪いほうに転んでも、必ず物語になる。旅の計画に物語があれば、転じた旅も物語を生む。
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この旅にストーリーはあるか。
初心に立ち返ろう。
その手を抜いたら、僕の旅じゃない。