自転車旅CAFE

自転車旅を中心とした紀行文、紀行小説

東武鬼怒川線の乗りづらさ

 この前のサイクリングで川俣温泉から山王林道へ出かけたとき、行きの東武電車を下今市で降りた。
 結果的にここから県道で大笹牧場を抜け、旧栗山村黒部ダムへ抜けたのだけど、これは輪行で降りた駅が下今市だったからだ。大笹牧場に好んで上りたかったわけじゃない。だって大笹牧場へ行ったら標高千メートル以上。黒部ダムは標高七百メートルだから、都合三百メートル以上を上り、下るわけだ。それは無駄でしょうに。
 本当なら川治温泉駅川治湯元駅あたりから、淡々と上りだけをこなして、黒部ダムに向かえばいい。東武株主優待乗車証を使う目的もあったから、それなら新藤原からだっていい。上りだけだ。せっかく上った標高を吐き出す必要はない。

 

 何度もいうけど、大笹牧場に行きたくて行ったわけじゃない。
 東武鬼怒川線に列車がないからだ。

 

 

 すべての発端は、歴史ある「快速」を廃止した今年の東武ダイヤ改正にある。

 

 じゃあもうひとつ。今回のサイクリングルートをなぜ奥鬼怒側からまわり、奥日光側へ下りて東武日光をゴールにしたか。
 東武鬼怒川線から栃木、栗橋方面へ走る列車がなくなってしまったからだ。

 

 快速が区間快速に格下げされてしまってからというもの、東武日光線の状況は年を追うごとに悪化した。結果、日光線鬼怒川線を使う場合「新栃木までをどうするか」が課題になった。毎時走ることのなくなった区間快速の、合い間を普通列車が補てんした。とはいっても新栃木までは各駅停車である区間快速なら普通列車であっても変わらなかった。新栃木まで来てしまえば20分に一本の運転がある。だから新栃木までどう来るかがポイントだった。
 鬼怒川線から区間快速の浅草ゆきもあったし、新栃木まで行く普通列車も走っていた。東武日光から来る列車と併合して走っている列車もあった。乗れば何とかなったのだ。
 しかし今回のダイヤ改正で、快速を廃止した陰に隠れながら、鬼怒川線から新栃木以南まで行く列車がなくなってしまったのだ。
 厳密にいえばなくはない。が、朝始発の普通・新栃木ゆきとその次の区間急行・南栗橋ゆき、それから16時台にある普通・新栃木ゆきだ。
 それ以外はすべて、下今市東武日光からやってくる列車に乗り換えなくちゃいけない。
 ──下今市での乗り換えで座れるの? 立ちっぱなんてやだよ。
 そんなわけで、僕は帰りの列車に東武日光から乗るため、サイクリングのゴールを東武日光駅にした。

 

 それに、たいていサイクリングを終える時間が読み切れないけど、鬼怒川温泉駅で夕方18時ちょうどの次は20時23分だよ。2時間半空きって、身延線でもないんじゃない?
 時間も時間だし、18時っていったら下手すりゃはまる時間なんで、鬼怒川線での帰路はあきらめた。
(その空きの時間、特急は走ってます。)

 

 ゴールを東武日光駅にした時点で、ルートは必然的に奥鬼怒側からまわることになった。

 

 初め、引いたルートは新藤原駅起点だったんだ。
 龍王峡をとおり、川治の手前から県道23号に分岐するルートを取る。そこからまっすぐ旧栗山村に入り、川俣温泉を目指すつもりだった。
 が、行きの列車を調べて唖然とする。

 

 下今市駅、朝7時27分の会津田島ゆきの次がなんと8時48分なのだ。しかも8時48分って、新栃木方面から来るあらゆる列車にまったく接続してない(まあ特急に接続しているんだけど)。かつての大人気快速だった(もちろん今も大人気だけど)急行東武日光ゆきでさえ接続していなくて、下今市で40分も待たされる。
 あり得んよぉ……このダイヤ。

 

 

 そんなわけで僕は朝の東武日光ゆきを下今市で降り、わざわざ大笹牧場を経由して栗山村へ向かったのだ。

 

 しつこくて申し訳ないけど、ちなみに8時48分の会津田島ゆきって浅草7時ちょうど発の特急に接続なんだよね。今回のダイヤ改正で新設された早朝特急、浅草6時30分発東武日光ゆきで来たとしても、下今市でぼおっと待つだけ。早朝特急が下今市に着く8時11分に合わせた鬼怒川線普通列車を一本、入れてほしいよなあ。じゃないと快速から転身した南栗橋発急行の乗客も、早朝特急の乗客も下今市で待ちぼうけ、浅草7時発の特急の乗客とあわせてみんなで仲良く2両の普通列車にって、どうなのかなあ。

 

 ダイヤ改正後、鬼怒川線に乗ろうという機会が初めてだったから今まで気づかなかったよ。でもこれ会津高原方面へ行きたいってとき、かなりのロスだなあ。夏や紅葉っていったら会津高原方面を考えるもんなあ。

 

 そういえばかつて、東武日光線に有料座席指定の快速急行「だいや」ってのが走ってた。
 まあ大谷だいや川に由来するんでまったく関係ないけど。

 

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【追記】

 先日書いた記事に間違いがありました。すみません。
 早朝特急、と書いた浅草発6時30分の特急は、新型のリバティ車両で運転されています。分割が可能な車両のため、下今市駅で分かれ、東武日光ゆきと会津田島ゆきになります。
 したがって、早朝特急に乗ってやってきた人が鬼怒川、会津方面へ向かう場合、下今市駅で途方に暮れるわけでなく、逆に乗り換えなしで会津田島まで行けるダイヤになっています。
 快速からなり変わった急行東武日光ゆきも、追いかけてくるこの早朝特急に下今市で乗り継ぐことができます。数分で。
 もちろん、下今市からの乗車でも特急券は必要ですが。
 そして、特急リバティに限り、下今市から先の特急料金は不要だそうです。これはありがたいかも。