自転車旅CAFE

自転車旅を中心とした紀行文、紀行小説

林道 桟敷山線

 群馬県嬬恋村から地蔵峠に向かう県道94号を上っていたとき、見慣れた山吹色の標識が目に入った。──林道である。

 それは、徐々にきつくなってきた上り坂はマイペースで進みたいというセルフ・マネジメントを裏切ってまでも気になる、林道の入り口だった。僕は、足を止めた。


 林道・桟敷山線。


 どうやら比較的新しい林道らしい。

 地蔵峠の北、県道94号から分かれ、嬬恋に至る。

 地図で見るとそういうことだ。

 ──情報が少ない。

 通行規制がかかっても、情報が得られなそうだ……。


 どう、ルートを作るかが難しい。

 鹿沢側から入るのがいいのだろうか。とすると起点はJR吾妻線か。万座・鹿沢口からスタートしたいところだけど、高崎線始発からの乗り継ぎを考えるなら吾妻線長野原草津口行きになってしまう。いったん長野原草津口から引こう。

 鹿沢側、県道94号から入ったとして、終端からどうすべきかだ。車坂峠までいっそ上って小諸に下るか、あるいは嬬恋に下るか。

 桟敷山林道自体は全線舗装らしいのだけど、終端から車坂峠へとつながる道は未舗装のよう。深めの砂利のところもあるようで、それを上って行くのはしんどいから、ここは車坂峠はあきらめて下ってしまうかな。

 嬬恋に下って、また吾妻線の駅にそのまま戻るのもどうにもイケてない気がして、と言って北軽井沢に出て峰の茶屋を越えて軽井沢とか、二度上峠とか、それは苦しい。魅力的ではあるけれど。

 いったんおいて、ひと呼吸。


 そうだ、地蔵峠から車坂峠に抜けたときは、鹿沢側から県道94号で上り始め、地蔵峠からは林道湯ノ丸高峰線へ入ったんだ、だから県道94号東御側は走ってない。こちら側から地蔵峠を目指してみてはどうだろう。

 であれば、嬬恋に抜けても「行って帰ってきた」感は生まれない。



 北陸新幹線佐久平駅を起点にしたけど、もちろん小海線に乗って小諸からスタートしてもいい。しなの鉄道でアプローチできるなら、滋野駅から走り始めればいい。

 帰りは長野原草津口まで引いてみたものの、それは吾妻線長野原草津口から先の列車が極端に減ってしまうから。万座・鹿沢口発の列車があるなら、そこまでのサイクリングにすればいいし、もし大前始発の吾妻線に合わせられそうなら迷わず大前から乗ろう。大前-万座・鹿沢口間なんて、列車に乗れること自体が希少だ。



地図

ルート(GPSies