自転車旅CAFE

自転車旅を中心とした紀行文、紀行小説

バス路線の魅力

 自転車で走っているときにバス停を見つけるとうれしくなる。国道や大きな幹線道路ではそれほどの感慨はないけれど、交通量もあまりない、自分だけが走っているような道にバス停が現れると格別である。その地の生活道路や山越えの一本道なんかだ。

 そういう道でバス路線に出合うことは、そこに根付いた地域の生活があると言える。もちろん廃線寸前の路線で、誰も利用する人などないという場所もあるかもしれないけど、時間や便によって利用している人がきっといる。


 バス路線て楽しいのは、そのバス停や行き先の発見だ。

 バス停につけられる名前は、路線が生活に近づけば近づくほど、地元の人が使う名だ。それは地図に載っていないものも多い。地番変更や合併で失われてしまったその地のかつてからの地名もあれば、地元の人だけが呼びならわす俗称だったりするものもある。バス停に、線と○印だけで書かれた路線図があったりする。それを見たって果たしてどこへ向かっているのか、バス停の名前からじゃ判断がつかない僕には皆目わからない。東西南北、検討がつかない。途中や目的地に駅や大きな病院や役所が含まれていればそこだけわかるのだけど、どこを経由していくのかがわからない。でもそれがおもしろい。

 自転車で走っていてバス停を見つけ、進んでまた次のバス停を見つける。こんな道を走っているのかって知るとうれしい。次のバス停が現れないと、路線が曲がってしまったのか、それとも最後に見たバス停が終点だったのか、気になってしまう。



 バス停や、バスの車体も個性的だから、それを目にするとこの地方にやって来たのだなって実感する。富士急バスの深緑色のバス停を見て山梨を感じ、東海バスの淡いクリーム色とオレンジ色の車体を見ると伊豆、なかでも西伊豆に出かけたときにその地を感じる。会津バスの白に濃紺の帯を見るといよいよ山深いかと感じる。



 ネット上の地図でいうと、マピオンの地図なんかはバス路線とバス停が描かれている。

 もちろん、全路線網羅しているはずもないし、路線の変更や廃止に追いついていないだろうけど、これを見るとルートに組み込みたくなる。見ていると主たる国道や県道からY字に色のつかない道が分かれ、バス路線がそちらへ行く。道はやがてまたY字で国道や県道に合流する。ああ、ここが旧道だったんだなと思う。峠越えの道だと、それを越える路線は多くない。どこまで進むだろう。この終点とその先とでは、道も町も違うだろうか。

 地図からだけでも想像がかき立てられて、興味が湧く。行ってみたくなる。


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