自転車旅CAFE

自転車旅を中心とした紀行文、紀行小説

サイクリングでハーブ茶を

 初めは、大失敗だった。

 僕は暑い時期でなけれはあまり飲みものを飲まないうえ、スポーツドリンクが好きじゃないから、冬にスポーツドリンクをボトルに入れてサイクリングに出かけるとほとんど飲まずに帰ってくることになる。ひと口、ふた口、五百ミリリットルのボトルは重たいままだ。

 とはいえ、飲まないのはよくない。冬だって汗はかくし、乾燥した空気のせいもあって水分は必要なのだ。長い距離を走れば顕著な影響が出るに違いない。まあこれは長い距離を走ってないってことなのだろうけど。

 そこで温かい飲みものならいいんじゃないかって思った。コーヒーは大好きだけどさすがにそれはどうかな、ゆっくり休憩して飲めばいい、それならお茶か──ハーブティなんていいんじゃないだろうか。そして僕はある朝、ジンジャーティを沸かし、少し冷ましてからボトルに注いだ。ふにゃっとなるポリのボトルも気持ち悪さはあった。そしてまだ暗い朝のなか輪行のために最寄駅まで走ると、それは着くまでにすっかり冷えてしまった。

 輪行を終え自転車を組み、走り始めるころ──日が昇ったといっても冬は空気も冷たく、ボトルは冷蔵庫で冷やしたように冷たくなっている。僕はこれを口にした。

 まずっ……。

 

 冷やしたハーブティはこんなにも美味しくなかった。ジンジャーティという選んだお茶も悪かったかもしれない。

 

 結局、量は進まなかった。

 

 そこで今回、もういっそ水筒で持って行ってしまおう、温かいままならいいだろうと、ふだん使っているステンレスボトルをなんとかボトルケージに収めることを考えた。ボトルは半日以上も温かさが続く優れもの、パール金属のマイ・カフェマグという製品。しかもサーモスの半額以下で手に入る。大きさもいろいろそろっているからもうひとつあってもいいなと思うほど気に入って使っている。

 これをどうボトルケージに収めるか。

 そもそも大きさが全然違う。当たり前だけどボトルケージにある“押さえ”に当たるくびれもない。

 ペットボトルを自転車のボトルケージに収めるには、百均なんかで手に入るペットボトルカバーを使えばいい。これがそもそもの発想だ。ステンレスボトルでも同じだろうと。

 ただ、このステンレスボトルが細身でペットボトルカバーさえも持て余してしまった。少なくとも家にあるものはそうだった。

 あきらめず家を探しているとずっと前にスバルのディーラーでもらったペットボトルカバーが出てきた。これはカバーというよりペットボトルを丸ごと入れてしまうもの。周囲にはクッション目的なのか断熱効果なのかかなりしっかりしたソフトな素材が入っている。これにステンレスボトルを収めてみた。うん、収まりがいい。あとはこれがボトルケージに入るかだ。幸い、僕の使っている金属骨組みのボトルケージは、見た目はロードに似合わないけれど何かと融通が利く。輪行袋の包みが上手くいかなくて大きくなっちゃってもどうにでもなる。だからこれも多少の無理はあるにせよ収まった。

 

 さてじっさいに使ってみた。当然ながらこんなしっかり入れてあるのだから、走りながら飲むことなんてできない。ボトルを出してふたを開けるにも時間を要するから、ちょっとした信号待ちでも難しい。

 でもよかった。温かいお茶を飲むっていい。冬のサイクリングにはこれだなあ。

 もうひとサイズ上のステンレスボトルを買ってもいいなと思った。

 

 しかしこのペットボトルカバー、カーディーラーでのもらいもの、売っているのかな……。手に入るのだろうか、見たことがないだけに。

 

(ステンレスボトルとペットボトルカバー)

(ステンレスボトルはこれ)

(ディーラーでもらったペットボトルカバー)

(こんなふうになる)