自転車旅CAFE

自転車旅を中心とした紀行文、紀行小説

旅の荷物の変化

 やっていることはサイクリング。輪行袋を携えて、鉄道に乗ったり自転車に乗ったり、そんな旅を続けている。それ自体は10年以上たっても変わっていない。

 だけど持ちものが数年で変わった。時代が流れて、サイクリングも変わってきたのだ。



 まず、地図。

 いつでも紙の地図を持っていた。ツーリングマップルのコピーであったり、ネットの地図の切り貼りだったり、必要最小限と必要な情報の掛け合わせで紙に印刷し、持ち歩いた。どこに入れて持っていたっけなあ。だいたい地理を把握している土地であればウェアの背中のポケット、土地勘のない場所であれば地図をシフトワイヤーにクリップで固定していた──僕が乗っている自転車はいまだにデュアルコントロールレバーからニョキっと触覚のようにシフトワイヤーが出ているタイプなので。

 地元の勝手知ったるところや、土地勘があってだいたいで走ることができればいいやって思うときなら地図を持たないこともあるけれど、それはまれ。一日じゅう走るようなサイクリングであれば、地図は必携だ。

 でも紙の地図を持たずに出かけることが多くなった。というか、ほとんど持たないか。GPSマップをハンドルバーにつけて、地図を表示させて走るようになったからだ。

 泊りがけとか、あるいは状況に応じて今日はコース変更をしそうだなと思ったときはGPSマップと紙の地図を併用することもあるけど、最近はごくごく少なくなった。


 それからスマートフォンの充電用のモバイルバッテリー。

 日帰りであれば持ったり持たなかったり、というのは多くの場合、僕の今使っているスマートフォンは何とか一日持ってくれるから。でもこれだって日によりコースにより充電の減り具合が全然違うから、持っていかずに切らしてしまったことも何度もある。どれだけ使うか──カメラを持たずに来て、写真をすべてスマートフォンに任せた一日とか、ネットを見たり書いたりとか──が大きいけれど、圏外の土地を走る時間が長いと電池の消費に大きく影響することもわかってきた。

 だから心配なときはモバイルバッテリーを持っていく。


 泊りがけになるとさらに増えるのが、充電関係のたぐいだ。

 スマートフォンの充電ケーブル、デジタルカメラのバッテリーの充電コード、GPSマップは単三のニッケル水素を使っているのでその充電器。

 もはや泊りがけは充電天国だ。

 宿に着くと、温泉よりも、着替えよりもまず先に充電だ。それに宿のコンセントなんてどうせ数に限りがあるから、タコ足にするタップだって必要。

 充電関係ですっかり荷物が増えた。


 むかし、と言ったってほんの数年前までだ、携帯電話はいわゆるガラケーで、一度充電すれば2、3日は持ったから出発の朝まで充電しておけば、一泊程度のサイクリングは心配なかったし、GPSマップを持ち歩いていなかったころは当然、そのための電池の充電だって必要がなかった。デジタルカメラはどうしてたっけなあ。そのころ「充電」っていう考えが頭になかったから、予備の電池を持つことはあれ、充電器までは持っていかなかった気がするなあ。

 もう今は、電気がなくちゃ自転車旅行もできない……。


 充電で思い出したのだけど、ヘッドライトに、小さいのに明るいことが気に入って、一時期充電式のライトを使っていた。

 でも今はもうそれを使っていなくて、それは商品がちゃちだったのか、製品としてたまたまダメなものにあたったのかはわからないのだけど、壊れてしまったのがいちばんの原因。

 ただそれからもう一度充電式を買いなおしたかと言うと、むかしから使っていた乾電池を入れるライトに戻ってる。つけても心もとないくらいの暗さなのだけど。

 充電式のライトだと切れたらもうどうにもならないよなあ、電池式だったらコンビニや商店で乾電池を買えばいいけれど、と思ったから。出川哲郎氏のように、お店や一般家庭におじゃまして、「充電させてください」っていうのもねえ、やっぱりあれはテレビだから。


 そういえば、乾電池の自動販売機って最近見ないね。


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▼デジカメの電池やらGPSマップの単三充電池やら、それを充電する充電器や、スマホを充電するコードとかプラグとか、コンセントを分割するタップとか、そんななんやかや……