自転車旅CAFE

自転車旅を中心とした紀行文、紀行小説

季節とお天気とお出かけ

 寒くて腰の上がらない季節である。

 何度かここでも書いたことがあるけど、僕は寒がりで(おそらくけっこうな寒がりだと思う)、ゆえに冬のこの時期は極端に出かける機会が減るのだ。このブログで主に取り上げている自転車は、当然だけど外で乗るわけで身体には寒さが直撃する──もちろん防寒はできるだけしているけれどそのうえでも、ということだ。ひとりで自転車に乗ろうかと考えていた朝、気温が低かったりするとやっぱりいいや、と考えていた計画を放り出してしまうことしばしだ。

 輪行や、鉄道の旅もそう。列車内で過ごす旅だからいくぶん敷居は下がるけれど、列車ごとに異なる空調はときに寒くて乗り続けていることをやめたくなるような列車もあるし、駅での乗り継ぎのあいだはひたすら寒さに耐えるしかない。身体を動かしていないぶん自転車より不利だ。

 一度寒くて凍える目に遭うとそれがトラウマになって、その冬は寒さに対する気持ちがいっそう弱くなってしまう。

 

 自転車の場合、これに風が加わる。風はご存じのとおり自転車の大敵で、上り坂より怖い強敵だ。できればかかわりたくない。目標を持って自転車に乗るアスリート系の方々は風もひとつのトレーニングと捉えてふだんと変わらず乗りに行くのだろうけど、僕の場合は楽しく旅ができることが主題なので、風もまた出かけるか出かけないかの判断材料になる。

 そして冬は風が強いことが多い。

 

 それでもたいていは出かけたくなってしまうので、冬は車で出ることも多い。冬の風景を見たくなって、車であれば寒い一日でも風の強い一日で耐えられるから。

 冬の風景は魅力的だ。遠景は澄んだ空気でどこまでも見通せるし、空だって吸い込まれそうなほど青くなる。木々は枯れ、葉を落として荒涼感が強いけれど、空の青さがそれを補ってくれる。雪のうえを走れる自転車は持っていないから行くことはないけれど、雪景色もいい。これこそ冬の風景と言える。冬だって魅力がたくさんある。

 

 考えてみたら年が明けてまだ一度も自転車に乗っていない。鉄道旅には出たけれど18きっぷの期限が迫っていたからで、それがなかったら果たして行ったかどうか。

 車だっていいじゃん、鉄道だっていいじゃん、そしてたまには自転車も出して──。魅力のある冬の風景を楽しまないのはもったいないから、そう、言い聞かせてみる。