自転車旅CAFE

自転車旅を中心とした紀行文、紀行小説

いすみ鉄道の自転車持ち込み

 先日の中房総サイクリングは現地まで車載アクセスだったので、デポ地まで戻ってくる必要があった(→前回記事:晩秋の中房総から外房サイクリング )。

 僕はピストンコースは好まないのでまあるくコースを作ったのだけど、そのときにいすみ鉄道を組み入れた。

 いすみ鉄道は自転車をそのまま積み込むことが可能で、サイクリングの距離も伸びてしまったことから、レクリエーション要素も交えて、このいすみ鉄道への持ち込みを計画してみた。

 

いすみ鉄道の自転車手回り券)

 これは俗にいう「サイクルトレイン」なのかもしれない。

 群馬の上信電鉄上毛電鉄でも聞いたことがある。他にも地方の私鉄では積極的に導入しているようだ。大手私鉄でもサイクルイベントやレースなんかにあわせて、大掛かりなサイクルトレイン専用列車を見立てて走らせたりしている。その列車はイベント参加者と自転車で車内がいっぱいだ。

 しかしいすみ鉄道サイクルトレインとは言っていない。

 それと他の鉄道とは違う点がある。

 時間や列車に制約がないことだ。

 まさに、「自転車持ち込み」だと思う。

 

 もちろん但し書きはある。「混雑時は持ち込みをお断りすることがございます──」

 桜や菜の花の時季にはいすみ鉄道は満員だ。このときばかりはやむを得ないと思う。しかしそれ以外では時間制限なし、列車限定なしなのだ。

 これはもうサイクリストが対象じゃない。生活者だ。生活密着の「自転車持ち込み」だと思う。サイクルトレインとは一線を画す、と僕は乗りながら考えていた。

 

 以前、やはり同じように車載アクセスで西上州をサイクリングしていたときのこと。もともと雨模様ではあったけど、いざ降り出すと路面に音を立てる篠つく雨だった。偶然通りかかった下仁田駅サイクルトレインのポスターを見つけ、駅員に「このまま持ち込めますか?」と聞いた。

「今日のサイクルトレインはもう終わりました」

 まあそういうことだ。時間制限、曜日制限、限定列車などなど敷居は高い。ちょっとのお出かけに自転車と一緒に乗っていくっていうことが難しい。曜日、時間、列車を知らないと利用できない。日常的な買い物や用事に、鉄道への自転車持ち込みはこれからひとつの形になるだろうと考えているから。ここで高齢者だらけの車社会という話に触れようとは思わないけれど、そういう意味も含めてね。

 

──ただこのとき下仁田駅で、濡れた僕と自転車を見た駅員が方便でそういったのかもしれないけれど。