自転車旅CAFE

自転車旅を中心とした紀行文、紀行小説

百均ダイソー自転車ボトル

 自転車のボトルってやつはだいたいにおいてプラスチックでできていて、スポーツドリンクを入れることがつねだ。

 このスポーツドリンクってやつがなかなかくせ者で、新品のボトルを下ろして一日使い続ければもうその臭いでいっぱいになる。プラスチックっていう素材は関係なく、それがアルミだろうがステンレスだろうが、臭いがついてしまう。僕が不精なものだから簡単にしか洗わないのだけど、コップや水筒を洗える柄つきのスポンジで丹念に洗ったところで臭いが取れないことを知っている。台所用漂白剤に一日つけておいたところで臭いが残ることを知っている。

 

 そんなわけで僕はできるだけ安いボトルを買うようになった。店頭で500円を割るようなボトルに出合えばとりあえず買って帰り、通販で安いボトルを見つければほかのものを買うときの送料調整として買った。安ければ安いほどいい、そう思って買い替え取り替えながら使うようになった。

 

ダイソー自転車ボトル

 

 これを見つけたのはほかの用事でダイソーに寄っていたときだった。ふだん自転車コーナーなどあまり立ち寄らないから、偶然通りかかったときに目に留まったと言っていい。

 ──108円。

 構造はふつうの自転車ボトルと同じだ。飲み口はプルアップで、引っ張り上げると中の飲みものが飲める。押し込んでおけばふたをした状態になる。

 プラスチックだからつぶしながら飲みものを押し出すこともできる。

 

 もう一度言おう。──108円だ。

 これだったら使い捨てにしたっていい。

 早速買ってみた。

 

ボトルケージヘの収まり

 

 買って帰るとまずボトルケージに挿してみた。

 しかし、きちんと収まらない──。

 そう、自転車のボトルって規格が存在し(これは暗黙の規格だろうか……)、ボトルのうえ3分の1くらいのところにくびれがある。いっぽうボトルケージには「返し」があって、このボトルのくびれと収まりあうようにできている。

 しかしダイソーのボトルにはくびれがない。

 それどころか、くびれに当たるところが逆にグラマラスに最も膨れているのだ。

 どう収まるかというと、こうなる。

 じゃあ収まりはどうかというと、僕のボトルケージではびくともしない。安定している。

 不自然なゆがみを持ったままボトルケージに挿さるので、きつめにはまっていて動くことがないのだ。

 じっさい、この写真は南会津周遊のサイクリングに出かけたときのもの。このときはガタガタの悪路も走り、国道の長い下り坂も飛ばした。しかしそのあいだがたつくこともなく、まったくボトルを意識することはなかった。

 それはどう判断すればいいのだろう。見た目のはまり方は斜めに刺さっててきわめて収まりが悪いけれど、ボトルケージの複数のポイントにきつめに当たって入つているのでがたつくことはまったくない。これは自転車のボトルとして収まりがいい、と言っていいのか。

 僕の独断だけ答えるなら、刺さり方はともかく、がたつくことなく収まっているのなら、「収まりはいい」と言っていい。

 

キャップの漏れ、飲み口の漏れ

 

 ダイソーのボトルのキャップはスクリュー式(ねじ込み式)だ。かつて自転車のボトルに多かったパッキン式(ふたをはめるタイプ)は開け閉めで簡単に劣化し、そこからよく飲み物が漏れた。最近はパッキン式のボトルは見ることも減り、スクリュー式に変わってきたが、ダイソーのこれもスクリュー式だ。

 では飲み口のほうはどうか。水を入れ、飲み口を押し込んで振ってみる。そこから漏れ出すことはなさそうだった。今度は飲み口をプルアップして振ったりボトルを押したりする。そうするときちんと飲み口から水が出てきた。飲み口を押し込んでボトルを強く押して、そのときに飲み口やキャップのスクリュー部から漏れがないかとチェックする人もいるかもしれないけど、そんな局面はないので僕はしない。

 

 

 そしていざ輪行した。輪行する朝、僕は家でスポーツドリンクを用意し、ボトルに満々と入れていくことが多い。密閉性に不安のあるボトルだと、輪行を終えて駅で自転車を出したときに、フレームや輪行袋がびしょびしょになったりする。

 が、このダイソーボトルは漏れることがなかった。

 そして走行中。前述の南会津の周遊でガタガタの悪路やそこそこの速度で走る国道の長い下り坂があったけれど、いずれも漏れることはなかった。

 僕の結論として、ダイソー自転車ボトルの漏れは心配ない。

 

 とすると、ボトルケージヘの収まりはかなり不恰好だけど、じっさいサイクリングでの使用としてダイソー自転車ボトルは問題なく使えるのではないだろうか。

 色はこのどぎつい青と、もうひとつどぎつい赤がある。その二色だが、ダイソーの色遣いの奇天烈さは今に始まったことじゃない。まあそういうものだと思えばいいか。

 それよりも臭いが取れなくなって気になったらすぐに捨てられる。

 それに、ダイソーは自転車店よりも立ち寄りやすいところにあって、営業時間も多くは自転車店より長い。入手性の点から見ても、このダイソー自転車ボトル、けっこうありなんじゃない?

 

 ただし店頭ではこのままの状態でハダカで売られている。買って帰ってきたらよく洗って、一度くらい熱湯を通すのがいいかもね。